
加藤 淳子
一括下請負の禁止(いわゆる丸投げ)
更新日:2020年7月1日
一括下請負、いわゆる工事全部丸投げは
建設業法22条1項、2項で禁止されています。
投げた業者も、受けた業者もいけません。
なぜ、丸投げはいけないのでしょうか。
工事を発注した発注者は、元請け業者だからこそ信頼している。
➜実際に施工した業者は技術力が劣っていた。
実際に施工はしないのに(下請け丸投げ)元請け業者がうまく利益を得ようとする。
下請け、二次下請け、三次下請けが繰り返される。
➜責任の所在不明。
下に行けば行くほど、技術力や労働環境の悪化などの懸念。
確かに、発注者は元請け業者を信頼して請け負わせているわけです。
なのに・・・都合で、施工できなくなった。
工事の規模が大きく、技術者の確保が出来ない。
人手不足や、自社の施工技術が理解できていないなど。
請け負った以上、投げ出すのはいけません。
発注者保護の観点から、
また、安全面から見ても一括下請負は禁止されているのです。
公共工事では例外なく認められていません。
民間工事では、発注者の事前承諾があれば認められます。
マンションなどの共同住宅は認められていません。
横浜のマンションでも傾斜が見つかり、大変な騒ぎになりましたね。
公共性の高い、不特定多数の人が利用する公共工事などは、より安全が求められるわけです。
一見、丸投げがあったとしても、通報などが無ければ分からないような気もしますが、
経営事項審査の申請書類を行政庁は、しっかり見ております。
完成工事高と技術者の数。
労務費と外注費などを分析することによって、一括下請けがなされていないか。
工事経歴書も記載した工事の契約書を添付することが求められています。(裏付け)
私たち、行政書士も税理士さんの作成した財務諸表を、建設業法に定められた財務諸表に作り替えているわけで、丸写しをしているわけではないのです。
書類作成しながら、アレッ?と思ったらお伺いをたてます。
元請け業者には、細かい義務が課せられています。
特に、特定建設業の許可を受けている業者は、一般建設業許可業者のような、下請けに出す金額の制限がありません。
大規模な工事を、多くの下請けに出し、金額も高額になるため重い責任が課されるのです。
施工計画の作成、工程、品質、安全、コスト管理、発注者とも連絡を取り合い、調整や必要ならば協議もします。
工事全体について、総合的に企画、調整、及び指導など主体的に実質的に関与していることが求められます。
単に、材料だけ提供している。
技術者を配置しているだけ。
それは、実質的に関与しているとはみなされません。
営業停止処分など重い罰則規定もあります。
外注に出すときなど、一括下請負に該当しないかお気をつけください。
自社の施工技術に見合った工事を請け負いましょう。