
加藤 淳子
任意後見制度
更新日:2021年5月3日
これまで2件ほどですが、ご相談から任意後見制度のお話をさせて頂いた事があります。
一件は、身寄りのない方をたまたま保護した事案。
一件は、遠方のご実家で一人暮らしのお父様が詐欺にあっているようで
どうしたら良いかというご相談でした。
後見制度は、ご本人を保護し、支援していく制度です。
法定後見制度は、わりと周知されているように感じるのですが
任意後見制度はあまり知られていないのではないかと思います。
ここで、簡単に書いてみたいと思います。
まだまだ元気でご自分で身の回りのことができる方が、
将来認知症などになった時のために、あらかじめ元気なうちに(←ポイント!)
任意後見人という人に代理をしてほしい事柄を決めておきます。
任意後見契約公正証書で作成されるので、公証人が御本人の意思能力を確認でき有効性を担保できますし、代理権に関する公的証書です。
任意後見制度には3つの形態があります。
将来型・・・契約のみを締結し判断能力が低下するまでは何も起きません。
判断能力が低下した時に代理権が発行します。
移行型・・・任意後見契約を結びますが、判断能力は低下していないのだけれども
体が不自由で通帳の管理などを頼む、いよいよ判断能力が
が低下して任意後見に移行するもの。
即効型・・・任意後見契約後、すぐに代理権が発生するもの。
なかなか、ややこしい制度のように思いますが
ご相談があった、離れたご実家で一人暮らしの親や、独居の方などには
良い制度かなと思います。
任意後見契約と見守り契約などを一緒に結び、元気なうちは見守りをして
判断能力が低下したら、任意後見契約に基づく代理権を行使する。
また、法定後見と違い死後の事務も委任できます。
任意後見人は特に資格など要しないので、信頼できる方に頼む事が出来ますし、
報酬も当事者で自由に決められます。
判断能力が低下した時は、家庭裁判所に申し立てをして任意後見監督人を選任してもらうことになります。(監督人には報酬発生)
任意後見人が一人いれば、わざわざ監督人なんて要らないでは?と思われる方もいらっしゃいますが、やはりご本人の財産を預かり代理行為をするわけですから、任意後見人を監督する監督人が就いて、ご本人をより厚く支援するということなのですね。
法定後見のような同意権、取消権は任意後見にはありません。
細かな違いもありますが、制度利用は年々増加してきています。
超高齢化社会や今の家族のあり方などを考えると、これからもっと利用されるべきではないかと考えます。
ちなみに・・・
私の娘がグループホームに入居したら・・・
娘の法律行為は法定後見人にお願いし、必要な支援はホームや作業所の職員、基幹相談の支援者、民生委員など。
娘を軸に社会生活を支援して頂く。
親の私は遺言を残し、娘への金銭支援は信託制度を利用しようかな~と考えています。